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気管支喘息と診断されたら呼吸機能を測定しよう


ペンギン先生のライフワークの一つは、子どもの気管支喘息(喘息)の軽症化と予後の改善です。子どもの喘息の予後は、70%程度が18歳程度までに寛解(症状がなくなり、治療がいらない状態)し、30%程度が成人喘息に移行すると報告されています。この寛解しない30%の人の特徴は、
①小児期に入院や救急外来を受診するほど重症な喘息発作を繰り返す、
②重症なアレルギー性鼻炎を合併している、
③長期の受動喫煙、などです。
子どもの呼吸機能は出生後から生後3歳までが最も成長します。この時期に頻回のウイルス感染と重症発作および受動喫煙を繰り返すと呼吸機能の成長が障害されます。それでも20歳まではある程度は成長するので喘息発作は減少し、日常生活に支障のない状態が続きます。

人の呼吸機能は20歳前後がピークでその後は徐々に低下し、老年期になると健康な人でも労作時の息切れを感じるようになります。喘息の人は喘息がない人に比較して呼吸機能のピークは低く、その後は健康な人と同様に低下するので、老年期になる前に労作時の息切れや喘息発作の再発が起こります。すなわち、喘息児が40歳前後になったときに労作時の息切れや喘息発作の再発を予防するためには、20歳までにできるだけ呼吸機能を健康な人の状態まで改善させることが大切です。そのためには、小児期から呼吸機能を測定し、早期に呼吸機能が低下している子どもを見つけ出し、環境整備指導や特異的免疫療法を含む喘息治療を強化して、呼吸機能を改善させる必要があります。すなわち、喘息治療の目的は単に喘息発作の消失だけでなく、良い呼吸機能を維持することです。

呼吸機能検査(フローボリュームカーブ)は、胸いっぱいにたくさん空気を吸って、その後一気に吐き出した1秒間の空気の流量を測定します。そのために息を吸い込む量と吐きだしに対する努力に依存する検査ですので、6歳以上にならないと信頼のある呼吸機能検査はできません。さらに、健康な人でも呼吸機能は10%前後の変動があるので、喘息児の呼吸機能を正確に評価するためには定期的に呼吸機能を反復測定する必要があります。

出典:小児気管支喘息治療・管理ガイドライン

喘息における呼吸機能検査は、予後の予測だけではありません。図のように、吐きだした1秒間の空気の流量の変化(曲線パターン)を用いて、喘息の診断と治療効果、さらに声帯機能不全や気管軟化症などの疾患との鑑別にも役立ちます。
ペンギンではスタッフがやさしく検査方法を指導し、医師が丁寧にその結果を説明しています。喘息が疑われている、または喘息と診断されているけど呼吸機能検査を受けていないお子様は、喘息診断と治療効果の評価、さらに喘息予後の予測などを目的に呼吸機能検査を受けることをお勧めします。